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月替展示(春 嵯峨本)のご案内

寺内の寺宝「嵯峨本」を展示しております。
是非この機会に寺宝をご覧いただきたく存じます。

ご観覧の方は、圓福寺 寺務所にてお問い合わせください。

1 伊勢物語(いせものがたり) 2巻 慶長13年(1608)刊 也足叟(やそくそう)自筆花押
嵯峨本古活字第1種 絵入り 袋綴2冊 27.0×19.3㎝

京の豪商角倉素庵(すみのくらそあん)が刊行した豪華本である「嵯峨本(さがぼん)」を代表する存在である「嵯峨本伊勢物語」は、日本の古典作品で最初の絵入り版本です。5色の紙に木製活字で印刷されおり、也足叟こと公家の中院通勝(なかのいんみちかつ)が製作に関与しており、末尾にその自筆サインである花押(かおう)があります。この本は尾張藩祖徳川義直の母の旧蔵と伝えられ、一度アメリカに渡って日本に戻ってきたものです。

2 伊勢物語 2巻 慶長13年(1608)刊 也足叟(やそくそう)自筆花押
嵯峨本古活字上冊第1種下冊第2種取合せ 絵入り 袋綴2冊 27.0×19.3cm

「嵯峨本伊勢物語」は人気があったようで、同年中にもう一度活字を組み直して出版されました。この本は、上冊は最初に印刷されたもので、下冊は2度目に印刷されたもので、後にセットとしたものです。2度目の印刷でも挿絵(さしえ)の版木は同じものを使用していますが、絵を囲む枠線である匡郭(きょうかく)に欠けが生じた箇所があり、それが1度目か2度目かを見極めるポイントになっています。

3 伊勢物語 2巻存下 慶長14年(1609)刊
伝嵯峨本古活字 絵入り 袋綴1冊 26.9×19.3cm

「嵯峨本伊勢物語」の人気は留まることをしらず、慶長14年にも新しい活字を用いたそっくりな『伊勢物語』が出版されました。末尾の出版に関する情報の部分は改められており、中院通勝の名前はありません。この本にも挿絵がありますが、そっくりに彫り直した版木を使用しています。上冊を欠いていますが、安田財閥の当主で蔵書家であった2代安田善次郎の旧蔵本です。

4 伊勢物語 2巻 慶長15年(1610)刊
伝嵯峨本古活字 絵入り 袋綴2冊 26.5×18.3cm

驚くべきことに慶長15年にも、また新しい活字を用いたそっくりな『伊勢物語』が出版されました。この年のものには白い紙のみのものもありますが、この本はそれまでと同様に5色の紙に印刷されています。挿絵の版木も14年のものとも異なる新しいものを使用しています。これらの他にも、慶長13年の2度目の本を利用して新たに製作した版木を用いて出版されたものも数種が存在しており、「嵯峨本伊勢物語」の人気の凄さが理解できます。よく似ているので、すべてが「嵯峨本伊勢物語」と呼ばれますが、厳密には本物は慶長13年の2種類だけであると考えられます。13年~15年の4種を見比べられるのはとても贅沢なことです。